要点まとめ
不動産登記のオンライン申請では電子署名が必須で、マイナンバーカードまたは法人の電子証明書を使って申請書類に署名する
所有権移転登記、抵当権設定登記など主要な登記手続がオンライン申請に対応し、登録免許税の減額措置も受けられる
スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。
不動産登記のオンライン申請とは
不動産登記のオンライン申請は、法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を通じて行います。土地や建物の所有権移転登記、抵当権設定登記、住所変更登記などを、インターネット経由で法務局に申請できます。
従来は法務局に直接出向いて紙の書類を提出する必要がありましたが、オンライン申請なら24時間いつでも申請が可能です。登録免許税の軽減措置(最大5,000円)も受けられます。
なぜ電子署名が必要なのか
不動産登記のオンライン申請では、申請書類に電子署名を付与することが法律で義務付けられています(出典:登記・供託オンライン申請システム)。
1. 本人確認(なりすまし防止)
不動産登記は不動産の権利関係を公示する重要な手続です。第三者によるなりすまし申請を防ぐため、電子証明書による厳格な本人確認が求められます。
2. 改ざん検知(データの完全性保証)
電子署名が付与された登記申請書は、後から内容が改ざんされていないことを数学的に証明できます。登記内容の信頼性を確保し、不正な変更を防止します。
3. 法的効力の確保
電子署名法により、適切な電子証明書で署名された電子文書は、紙の書類への押印と同等の法的効力を持ちます。不動産登記という法的拘束力のある手続において、電子署名は不可欠です。
不動産登記で利用可能な電子証明書
不動産登記のオンライン申請では、政府認証基盤(GPKI)に対応した電子証明書が利用できます。
- 公的個人認証サービス電子証明書(マイナンバーカード)
地方公共団体情報システム機構が発行する電子証明書。マイナンバーカードに格納されており、個人の不動産登記申請に利用できます。 - 商業登記電子証明書
法務省の電子認証登記所が発行する電子証明書。会社の代表者や取締役に発行され、法人が申請する場合に利用します。 - その他の GPKI 対応電子証明書
セコムパスポート for G-ID、AOSign サービス、e-Probatio PS2 など、民間認証局が提供する GPKI 対応の電子証明書も利用可能です。
スマホ(iPhone)で不動産登記書類に電子署名する方法
iPhone とマイナンバーカードを使って、不動産登記申請の PDF 書類に電子署名を付与する手順を説明します。
電子署名くんを使った手順
- App Store から「電子署名くん」をダウンロード
- 不動産登記申請に必要な書類(申請書、添付情報など)を PDF 形式で用意
- アプリで PDF を開く
- 「電子署名」メニューを選択
- 署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力
- iPhone の背面上部にマイナンバーカードをかざす
- 電子署名付き PDF が生成される
- この PDF を登記ねっとから添付・送信
PC の場合は、申請用総合ソフトと IC カードリーダライタを使用します。
オンライン申請できる主な不動産登記手続
- 所有権移転登記:売買、相続、贈与などによる不動産の所有者変更
- 抵当権設定登記:住宅ローンなどの担保設定
- 抵当権抹消登記:ローン完済後の担保権消滅
- 住所変更登記:所有者の住所が変わった場合の変更登記
- 氏名変更登記:結婚などで氏名が変わった場合の変更登記
よくあるエラーと対処法
エラー1:「電子証明書が利用できません」
対処法:使用している電子証明書が GPKI 対応かどうか確認してください。マイナンバーカードの場合は署名用電子証明書を使用していることを確認してください。
エラー2:「署名検証エラー」
対処法:電子証明書の有効期限が切れていないか確認してください。マイナンバーカードの署名用電子証明書は発行日から5回目の誕生日まで有効です。
エラー3:「添付ファイルのサイズが大きすぎます」
対処法:登記ねっとでは添付ファイルの合計サイズに制限があります(10MB 程度)。PDF を圧縮するか、複数回に分けて送信してください。