相続登記オンライン申請|電子署名くんとマイナンバーカード
要点まとめ
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したら3年以内に登記が必要になりました。
登記ねっと(オンライン申請システム)を使えば、法務局に行かずに自宅からオンライン申請でき、申請書や添付書類PDFにマイナンバーカードで電子署名して提出します。
スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。
相続登記とは
相続登記は、不動産の名義を亡くなった方から相続人へ移す手続きで、登記簿に所有者情報を反映させます(出典:法務局)。
登記を済ませることで、売却や担保設定などの法的手続きがスムーズになり、相続人同士のトラブル予防にもつながります。
相続登記が必要な理由
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化され、法務省は正当な理由なく放置した場合に過料の対象になると案内しています。
義務化の内容
- 申請期限: 不動産を取得したことを知った日から3年以内
- 過去の相続も対象: 2024年4月1日より前の相続も義務化の対象
- 罰則: 正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料
⚠ 重要な注意点
義務化以前(2024年4月1日より前)に発生した相続についても、2027年3月31日までに登記する必要があります。未登記の不動産を相続した方は早めに手続きを進めてください。
オンライン申請のメリット
相続登記はオンライン申請が可能です。登記ねっと・供託ねっとシステムを利用して、自宅から申請できます。
オンライン申請の利点
- 法務局に行く必要がない: 自宅やオフィスから24時間いつでも申請可能
- 登録免許税が安い: オンライン申請は登録免許税の軽減措置があります(一定の条件あり)
- 書類の郵送不要: 申請書や添付書類をPDFで提出でき、原本の郵送が不要
- 進捗確認が簡単: 申請状況をオンラインで確認できます
オンライン申請の手順
事前準備
- マイナンバーカード(署名用電子証明書のパスワードも必要)
- 申請用総合ソフトのインストール(法務省提供の無料ソフト)
- 登記ねっとアカウントの作成
- 必要書類の準備(戸籍謄本、遺産分割協議書、固定資産評価証明書等)
ステップ1: 申請書の作成
申請用総合ソフトを使用して、相続登記申請書を作成します。
- 申請用総合ソフトを起動
- 「不動産登記申請書」→「所有権移転(相続)」を選択
- 不動産情報(所在、地番、地目、地積等)を入力
- 相続人情報(被相続人と相続人の氏名、住所等)を入力
- 登録免許税額を計算・入力
- 申請書PDFを作成・保存
ステップ2: 添付書類のPDF化
必要書類をスキャンまたはPDF形式で準備します。
- 戸籍謄本・除籍謄本
- 住民票の写し
- 遺産分割協議書(ある場合)
- 固定資産評価証明書
- 委任状(代理人申請の場合)
ステップ3: 電子署名の付与
申請書PDFと添付書類PDFに電子署名を付与します。
パソコンでの署名方法
- 申請用総合ソフトの署名機能を使用
- ICカードリーダーにマイナンバーカードをセット
- 署名用電子証明書のパスワード(6〜16桁)を入力
- 電子署名を付与
スマホでの署名方法(電子署名くん)
- 申請書PDFを電子署名くんで開く
- iPhoneにマイナンバーカードをかざす
- 署名用電子証明書のパスワードを入力
- 署名付きPDFが作成される
ステップ4: オンライン申請
登記ねっとシステムから申請します。
- 登記ねっとにログイン
- 「申請書の作成」→「不動産登記」を選択
- 署名付き申請書PDFと添付書類PDFをアップロード
- 内容を確認して申請送信
- 登録免許税の納付(電子納付または領収証書添付)
ステップ5: 完了確認
申請後、登記完了までの流れ:
- 申請状況を登記ねっとで確認
- 補正(訂正)が必要な場合、法務局から連絡があります
- 登記完了後、登記完了証をオンラインで取得
- 必要に応じて登記事項証明書をオンライン請求
よくあるエラーと対処法
エラー1:「署名検証に失敗しました」と表示される
原因:電子署名が正しく付与されていない、または証明書の有効期限切れ
対処法:
- マイナンバーカードの署名用電子証明書が有効か確認(有効期限は発行から5回目の誕生日)
- 電子署名を再度付与してみる
- 申請用総合ソフトを最新版にアップデート
- PDFファイルが破損していないか確認
エラー2:登録免許税額が合わない
原因:固定資産評価額の計算ミスまたは税率の適用誤り
対処法:
- 固定資産評価証明書の評価額を再確認
- 相続登記の税率は0.4%(1000分の4)を適用
- 複数の不動産がある場合、合計額で計算
- 100円未満は切り捨て
エラー3:添付書類が不足していると指摘される
原因:必要な戸籍謄本等が不足している
対処法:
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要
- 相続人全員の現在戸籍謄本も必要
- 遺産分割協議書がある場合、相続人全員の印鑑証明書も添付
- 不明な場合は管轄法務局に事前相談
よくある質問(FAQ)
Q: 相続登記は自分でできますか?司法書士に依頼すべきですか?
A: 手続きがシンプルなら自分で申請可能です。複雑なケースは司法書士へ相談しましょう。
Q: 相続登記の費用はどれくらいかかりますか?
A: 登録免許税は評価額の0.4%。戸籍取得費や司法書士報酬(5〜15万円程度)が加わります。
Q: 電子署名くんで申請書に署名したあと、どうやって提出しますか?
A: 署名済みPDFをパソコンへ転送し、登記ねっとにアップロードすれば提出できます。
Q: オンライン申請でも原本の提出は必要ですか?
A: 多くはPDF提出で足りますが、法務局が求めれば原本提示が必要ですので保管してください。
Q: 相続登記の期限を過ぎたらどうなりますか?
A: 正当な理由なく放置すると10万円以下の過料対象です。理由があれば早めに法務局へ相談しましょう。