要点まとめ
行政オンライン申請では電子署名が必須で、マイナンバーカードの署名用電子証明書を使って本人確認とデータ改ざん防止を実現する
マイナポータルや e-Gov など主要な行政サービスがマイナンバーカードによる電子署名に対応している
スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。
行政オンライン申請とは
行政オンライン申請は、従来は役所の窓口に出向いて紙で提出していた各種申請・届出を、インターネット経由で行政機関に提出できるサービスです。総務省が推進する行政のデジタル化施策の一環として、多くの手続がオンライン化されています。
主な行政オンライン申請システムには、マイナポータル(子育てや介護などの行政サービス検索・電子申請)、e-Gov(雇用保険・社会保険の電子申請)、e-Tax(国税の電子申告)などがあります。
なぜ電子署名が必要なのか
行政オンライン申請では、提出書類に電子署名を付与することが求められます(出典:マイナポータル)。
1. 本人確認(なりすまし防止)
行政申請は給付金の受給、許認可の取得など、重要な権利や義務に関わる手続です。第三者によるなりすまし申請を防ぐため、マイナンバーカードの電子証明書による厳格な本人確認が必要です。
2. 改ざん検知(データの完全性保証)
電子署名が付与された申請書類は、後から内容が改ざんされていないことを数学的に証明できます。申請内容の信頼性を確保し、不正な変更を防止します。
3. 法的効力の確保
電子署名法により、適切な電子証明書で署名された電子文書は、紙の書類への押印・署名と同等の法的効力を持ちます。行政手続という法的拘束力のある申請において、電子署名は不可欠です。
マイナンバーカードで利用できる行政オンライン申請
マイナンバーカードの署名用電子証明書を使って、以下のような行政手続をオンラインで完結できます。
- マイナポータル経由の申請
児童手当の現況届、保育所入所申込、介護保険の要介護認定申請など、子育てや介護に関する手続をオンラインで申請できます。 - e-Gov 経由の申請
雇用保険の資格取得届、社会保険の算定基礎届など、労働・社会保険関係の手続を電子申請できます。事業主が従業員の手続を代行する場合にも利用されます。 - e-Tax での電子申告
所得税の確定申告、法人税申告、消費税申告などの国税手続を電子的に提出できます。添付書類の PDF にも電子署名が必要です。 - 補助金・助成金の申請
経済産業省や自治体が提供する事業者向け補助金・助成金の申請で、電子署名付き PDF の提出が求められることがあります。
スマホ(iPhone)で行政申請書類に電子署名する方法
iPhone とマイナンバーカードを使って、行政申請の PDF 書類に電子署名を付与する手順を説明します。
電子署名くんを使った手順
- App Store から「電子署名くん」をダウンロード
- 行政申請に必要な書類を PDF 形式で用意
- アプリで PDF を開く
- 「電子署名」メニューを選択
- 署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力
- iPhone の背面上部にマイナンバーカードをかざす
- 電子署名付き PDF が生成される
- この PDF を各行政システム(マイナポータル、e-Gov など)から添付・送信
マイナポータルなど一部のサービスでは、システム内で直接マイナンバーカードを読み取って電子署名できる機能もあります。
よくあるエラーと対処法
エラー1:「電子証明書の有効期限が切れています」
対処法:署名用電子証明書の有効期限は発行日から5回目の誕生日までです。市区町村の窓口で更新手続を行ってください。有効期間満了日の3ヶ月前から更新可能です。
エラー2:「署名用電子証明書の暗証番号が違います」
対処法:署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力してください。利用者証明用(4桁数字)とは異なります。3回連続で間違えるとロックされ、市区町村窓口での再設定が必要になります。
エラー3:「カードが読み取れません」
対処法:iPhone の背面上部中央にマイナンバーカードを正しく当て、2〜3秒間動かさずに保持してください。金属製のケースやカバーがあると読み取りに失敗することがあります。