要点まとめ
令和7年4月1日から、e-Tax の PDF 添付書類でグレースケール(白黒階調)でのスキャナ読取りが認められるようになり、利便性が向上した
PDF 提出時には電子署名が必須で、本人確認とデータ改ざん防止のため、マイナンバーカードの署名用電子証明書による電子署名が求められる
スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。
e-Tax 添付書類のスキャナ読取り要件とは
e-Tax(イータックス)は国税庁が運営する国税電子申告・納税システムで、確定申告や法人税申告などの税務手続をインターネット経由で行えます。申告の際には添付書類を PDF 形式で提出できますが、そのスキャナ読取り方法には一定の技術要件が定められていました。
令和7年4月1日に「国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令」が一部改正され、添付書類のスキャナ読取り要件が見直されました(出典:e-Tax 公式サイト)。
何が変わったのか|グレースケール対応
今回の改正により、スキャナ読取りの階調要件が以下のように変更されました。
変更前の要件
- 解像度:200dpi 相当以上
- 階調:赤色、緑色、青色の階調がそれぞれ256階調以上(フルカラー)
変更後の要件(令和7年4月1日以降)
- 解像度:200dpi 相当以上(変更なし)
- 階調:白色から黒色までの階調が256階調以上(グレースケール)でも可
これまではフルカラーでのスキャン が必須でしたが、令和7年4月1日からはグレースケール(白黒階調)でも提出できるようになりました。もちろん、改正後もカラーでのスキャンは引き続き利用できます。
なぜ電子署名が必要なのか
e-Tax で PDF 添付書類を提出する際、スキャナ読取り要件に加えて、電子署名の付与が必須要件となっています(出典:国税庁)。電子署名が求められる理由は以下の3つです。
1. 本人確認(なりすまし防止)
電子署名により、提出された PDF が確かに申告者本人が作成したものであることを証明します。第三者によるなりすまし申告を防ぐため、マイナンバーカードの署名用電子証明書を使った本人確認が必須です。
2. データの完全性保証(改ざん検知)
電子署名が付与された PDF は、後から内容が1文字でも改ざんされると署名の検証が失敗します。これにより、提出後のデータ改ざんを防ぎ、税務署が受理したデータの信頼性を確保します。
3. 法的効力の確保
電子署名法により、電子署名が付与された電子文書は紙の文書と同等の法的効力を持ちます。税務手続という重要な行政手続において、法的に有効な証拠として扱われるため、電子署名が必須となっています。
対象となる手続
今回の改正は、添付書類をイメージデータ(PDF 形式)で提出できる以下の3つの手続に適用されます。
①添付書類のイメージデータによる提出
e-Tax で申告・申請・届出を行う際、別途郵送や窓口提出が必要な添付書類を、書面の代わりに PDF で提出できます。
②光ディスクによる添付書類の提出
法人税申告または相続税申告に係る一部の添付書類を、光ディスクや磁気ディスクに PDF として記録して提出できます。
③イメージデータで送信可能な手続
書面で作成した申請書や届出書を PDF に変換し、e-Tax で送信できる手続です。
スマホで PDF に電子署名する手順
マイナンバーカードと iPhone があれば、電子署名くんを使ってスマホだけで PDF に電子署名を付与できます。
- 電子署名くんアプリを起動
- スキャンまたは撮影した添付書類の PDF を選択
- 「電子署名」メニューをタップ
- 署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力
- iPhone の背面上部にマイナンバーカードをかざす
- 電子署名付き PDF が生成される
- e-Tax ソフトまたは e-Tax ウェブ版から添付・送信
電子署名くんは完全ローカル処理のため、個人情報や文書データを外部に送信しません。安全に電子署名を付与できます。
よくあるエラーと対処法
エラー1:「解像度が不足しています」
対処法:スキャナやスマホカメラの設定を確認し、200dpi 以上でスキャンまたは撮影してください。スキャナアプリの設定で「高画質」や「200dpi以上」を選択すると確実です。
エラー2:「署名用電子証明書の暗証番号が違います」
対処法:署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を正しく入力してください。利用者証明用(4桁数字)とは異なります。3回連続で間違えるとロックされ、市区町村窓口での再設定が必要になります。
エラー3:「PDF ファイルが破損しています」
対処法:スキャンアプリや PDF 変換アプリで再度 PDF を作成してください。ファイルサイズが大きすぎる場合は、圧縮または分割して提出することも検討してください。