商業登記電子証明書の手数料改定|電子署名くんでPDF署名

要点まとめ

令和7年(2025年)4月から商業登記電子証明書の発行手数料が引き下げられ、1か月500円、3か月1,100円から利用できるようになりました。

電子証明書は、e-Tax・eLTAX・登記ねっと等のオンライン申請で必要な法人代表者の本人確認手段として利用され、電子署名付きPDF提出にも対応します。

スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。

商業登記電子証明書とは

商業登記電子証明書は、登記所が会社・法人の代表者等に対して発行する電子証明書で、オンライン手続きの本人確認と改ざん防止に使われます(出典:法務省)。

国・地方公共団体等に対する多くのオンライン申請・届出手続で利用できます。

利用可能な手続の例

  • 登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)
    商業・法人登記、不動産登記、動産・債権譲渡登記、成年後見登記、供託、電子公証
  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)
    法人税・消費税等の電子申告、PDF添付書類の電子署名
  • eLTAX(地方税電子申告)
    法人住民税・事業税等の電子申告
  • 社会保険・労働保険関係手続
  • その他
    特許出願、政府電子調達、自治体の電子申請など

電子証明書が必要な理由

登記・供託オンライン申請システムなどの法人手続きでは、代表者本人が提出書類に電子署名することが義務付けられており、電子証明書によって本人性と非改ざん性が担保されます。

  • 法人税のe-Taxや地方税のeLTAXで電子署名と暗号化に使用
  • 登記ねっとでの登記事項変更申請に不可欠
  • 電子契約や政府調達で代表者の意思表示を証明できる

令和7年4月の発行手数料引下げ

令和7年(2025年)4月に発行手数料の引下げが実施されました。証明期間に応じて、以下の手数料で電子証明書を取得できます。

証明期間 発行手数料
1か月 500円
3か月 1,100円
6か月 2,000円
9か月 2,900円
12か月 3,800円
15か月 4,700円
18か月 5,600円
21か月 6,500円
24か月 7,400円
27か月 8,300円

⚠ 重要な注意点

  • 令和7年3月以前にインストールした商業登記電子認証ソフトは使用できません。最新版を必ずインストールしてください。
  • 納付額に間違いのないようご注意ください。
  • 電子証明書に記録された事項(商号、本店、代表者の氏名等)に関する変更登記がされた場合、証明期間内でも電子証明書が失効することがあります。

電子証明書の取得手順

商業登記電子証明書の取得は、以下の3ステップで行います。

事前準備:専用ソフトウェアのインストール

法務省が提供する「商業登記電子認証ソフト」を無償でダウンロードし、パソコンにインストールします。令和7年4月の手数料引下げに伴い、ソフトウェアも更新されています。

動作環境

  • OS: Windows 8.1 / 10 / 11(日本語版)
  • ブラウザ: Microsoft Edge, Google Chrome, Internet Explorer 11(Windows 11は除く)
  • その他: Adobe Acrobat Reader DC

手順1:必要なファイルの作成

商業登記電子認証ソフトを使用して、以下の2つのファイルを作成します。

  • 鍵ペアファイル: 秘密鍵と公開鍵を含むファイル(パスワードで保護)
  • 証明書発行申請ファイル: 登記所に提出する申請データ

入力が必要な情報:

  • 商号または名称(登記事項証明書のとおり)
  • 本店または主たる事務所
  • 被証明者(代表者)の氏名・資格
  • 電子証明書の有効期間(1か月、または3か月〜27か月)
  • 鍵ペアファイルのパスワード
  • 使用休止届出用暗証コード

手順2:電子証明書の発行申請

会社・法人の本店・主たる事務所の所在地を管轄する登記所に申請します。申請方法は2通りあります。

書面申請の場合

  • 管轄登記所に届出印を押印した電子証明書発行申請書(収入印紙または登記印紙を貼付)
  • 証明書発行申請ファイル(CD、DVD、またはUSBメモリに格納)

申請後、登記所での処理が完了すると、シリアル番号が記載された「電子証明書発行確認票」が交付されます。

オンライン申請の場合

登記・供託オンライン申請システムを利用して申請します。処理完了後、システムのお知らせでシリアル番号が通知されます。

手順3:電子証明書の取得(ダウンロード)

商業登記電子認証ソフトを使用して、インターネット経由で電子認証登記所から電子証明書をダウンロードします。

取得時に必要な情報:

  • シリアル番号(電子証明書発行確認票に記載)
  • 鍵ペアファイル
  • 鍵ペアファイルのパスワード

スマホとの連携で電子署名を簡単に

商業登記電子証明書を取得した後、PDF書類に電子署名を付与する際に「電子署名くん」が役立ちます。

電子署名くんでできること

  • iPhone + マイナンバーカードでPDF電子署名
    法人代表者個人のマイナンバーカードを使用して、iPhone上で直接PDF書類に電子署名を付与できます。
  • e-Tax添付書類の電子署名
    法人税申告のPDF添付書類に、スマホから電子署名を付与して提出できます。
  • 登記申請書類の電子署名
    商業登記・不動産登記等のオンライン申請で必要なPDF書類に署名できます。
  • 完全ローカル処理
    すべての処理がiPhone内で完結し、PDFデータは外部に送信されません。

💡 使い分けのポイント

商業登記電子証明書は法人としての電子署名、マイナンバーカードは法人代表者個人としての電子署名です。手続きによって必要な証明書が異なるため、e-Tax等の利用手引きを確認してください。多くの場合、個人としてのマイナンバーカード署名で対応できます。

よくあるエラーと対処法

エラー1:「古いバージョンのソフトウェアです」と表示される

原因:令和7年3月以前の商業登記電子認証ソフトを使用している

対処法:

  • 法務省ホームページから最新版の商業登記電子認証ソフトをダウンロード
  • 古いソフトをアンインストールしてから、最新版をインストール
  • 手数料引下げ後は必ず最新版を使用する必要があります

エラー2:電子証明書のダウンロードに失敗する

原因:シリアル番号、鍵ペアファイル、パスワードのいずれかが間違っている

対処法:

  • 電子証明書発行確認票に記載されたシリアル番号を正確に入力
  • 手順1で作成した鍵ペアファイルを正しく指定
  • 鍵ペアファイル作成時に設定したパスワードを入力
  • それでも解決しない場合は、管轄登記所に問い合わせ

エラー3:電子証明書が失効している

原因:商号、本店、代表者の氏名等に関する変更登記がされた

対処法:

  • 登記変更があった場合、証明期間内でも電子証明書は失効します
  • 一定条件を満たす場合、手数料不要で再発行申請が可能
  • 詳細は管轄登記所に問い合わせてください

よくある質問(FAQ)

Q: 商業登記電子証明書とマイナンバーカードの違いは何ですか? A: 法人手続きは商業登記電子証明書、個人手続きはマイナンバーカードを使うのが基本です。
Q: 電子証明書の有効期間はどう選べばよいですか? A: 決算申告のみなら1〜3か月、通年で使うなら12か月など利用頻度に合わせて選びましょう。
Q: 古いソフトで作成した申請ファイルは使えますか? A: 令和7年3月以前のソフトで作成した申請ファイルは使えません。最新版で作り直してください。
Q: ICカード形式とファイル形式の違いは何ですか? A: ファイル形式はPC保存、ICカード形式はカード保存です。利用先のシステムで対応形式を事前に確認してください。
Q: 電子証明書取得後、スマホでPDF署名はできますか? A: 電子証明書はPCで使用しますが、個人のマイナンバーカードと電子署名くんならスマホでPDF署名ができます。

参考リンク・出典

スマホでPDF書類に電子署名

iPhone+マイナンバーカードで、法人代表者としてPDF書類に電子署名を付与。e-Tax添付書類や各種オンライン申請書類の署名がスマホで完結します。