PDFへの電子署名とは|やり方・法的効力・スマホでの署名方法を解説

PDF への電子署名は、PDF ファイルに電子的な署名を付与することで、書類の作成者や承認者を証明し、改ざんを防止する仕組みです。契約書、請求書、稟議書などのビジネス文書で広く利用されています。

電子署名法に基づく電子署名は、紙の書類への押印と同等の法的効力を持ちます。特に認定認証業務(マイナンバーカードなど)による電子署名は、裁判でも高い証明力が認められます。

スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんで PDF に電子署名できます。契約書や稟議書への署名も、数十秒で完了します。

PDF 電子署名の仕組み

PDF への電子署名は、公開鍵暗号方式という技術を使って実現されています。署名者は秘密鍵でファイルに署名を行い、検証者は公開鍵で署名の真正性を確認します。

電子署名が付与された PDF には、以下の情報が埋め込まれます。

  • 署名者情報:氏名、所属組織、メールアドレスなど
  • 署名日時:いつ署名されたかのタイムスタンプ
  • 証明書情報:発行機関、有効期限、証明書番号
  • ハッシュ値:文書の内容を数学的に表現した値

署名後にファイルが改ざんされると、ハッシュ値が変わるため検証時にエラーが表示されます。これにより文書の完全性が保証されます。

なぜ電子署名が必要か

PDF への電子署名は、以下の理由でビジネス文書に不可欠となっています。

  • 本人確認:署名者が確かに電子証明書の所有者であることを証明
  • 改ざん防止:署名後にファイルが書き換えられていないことを保証
  • 否認防止:後から「署名していない」と主張できないようにする
  • 法的効力:電子署名法により紙の押印と同等の証明力を持つ

特に契約書や重要な合意書では、電子署名により法的トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。

PDF 電子署名の法的効力

日本の電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)では、以下の2つの要件を満たす電子署名は、押印された書面と同等の法的効力を持つとされています。

電子署名法第3条の要件

  1. 本人性:署名が本人によって行われたことが証明できる
  2. 非改ざん性:署名後に文書が改ざんされていないことが証明できる

マイナンバーカードの署名用電子証明書や、商業登記電子証明書を使った電子署名は、これらの要件を満たしており、高い法的効力が認められます。

認定認証業務とは

総務大臣または主務大臣の認定を受けた認証局が発行する電子証明書を「特定認証業務」と呼びます。マイナンバーカードの電子証明書はこれに該当し、最も高い信頼性を持ちます。

PDF への電子署名のやり方

PDF ファイルに電子署名を付与する方法は、大きく分けて3つあります。

1. Adobe Acrobat を使う方法

Adobe Acrobat Pro では、マイナンバーカードや電子証明書を使って PDF に署名できます。IC カードリーダーが必要ですが、業務用途では最もポピュラーな方法です。

2. クラウド電子署名サービスを使う方法

クラウドサイン、DocuSign、Adobe Sign などのクラウドサービスを使う方法です。相手方にメールで署名依頼を送り、オンラインで署名してもらいます。ただし月額費用がかかります。

3. スマホアプリを使う方法

iPhone とマイナンバーカードがあれば、専用アプリで PDF に電子署名できます。電子署名くんのようなアプリを使えば、完全ローカル処理で安全に署名が可能です。

電子署名が必要な主なビジネス文書

以下のような文書では、電子署名により法的効力と信頼性が高まります。

  • 契約書:業務委託契約、秘密保持契約、売買契約など
  • 稟議書:社内決裁が必要な重要書類
  • 請求書・見積書:金額の改ざん防止のため
  • 同意書:個人情報取扱同意書、医療同意書など
  • 証明書:在職証明書、卒業証明書など
  • 行政提出書類:e-Tax 添付書類、登記申請書類など

特に金銭が絡む契約書や、法的義務のある行政提出書類では、電子署名が強く推奨されます。

よくあるエラーと対処法

「署名の検証に失敗しました」エラー

原因:署名後に PDF ファイルが編集または改ざんされている。

対処法:元の署名済みファイルを送信者に再送してもらってください。署名後は PDF を編集せず、閲覧のみにしてください。

「証明書の有効期限が切れています」エラー

原因:署名に使用した電子証明書の有効期限が過ぎている。

対処法:マイナンバーカードの場合、署名用電子証明書の有効期限は発行から5回目の誕生日までです。市区町村窓口で更新手続きを行ってください。

「信頼された証明書ではありません」警告

原因:Adobe Acrobat の信頼された証明書リストに追加されていない。

対処法:これは警告であってエラーではありません。JPKI(公的個人認証)の証明書を信頼リストに追加すれば警告は消えます。署名自体は有効です。

よくある質問

Q: 無料で PDF に電子署名できますか? A: マイナンバーカードを持っていれば、電子署名くんのような無料アプリで署名できます。クラウドサービスは通常有料です。
Q: 電子署名と電子印鑑の違いは何ですか? A: 電子印鑑は画像として押印を表示するだけで、改ざん検知機能はありません。電子署名は暗号技術で改ざんを検知できます。
Q: 複数人が署名する場合はどうすればよいですか? A: 順番に署名を追加していきます。各署名者が自分の電子証明書で署名することで、複数署名が可能です。
Q: スマホで署名した PDF はパソコンでも開けますか? A: はい、PDF は共通フォーマットなので、どの端末でも開けます。署名の検証も Adobe Acrobat などで行えます。
Q: 電子署名された PDF を印刷したら効力は失われますか? A: 印刷すると電子署名の情報は失われます。法的効力を保つには PDF のまま保管してください。

参考リンク

スマホで PDF に電子署名

契約書や請求書への電子署名は、電子署名くんで簡単に完了します。iPhone とマイナンバーカードだけで、完全ローカル処理による安全な署名が可能です。