要点まとめ
ビジネス文書の電子署名は本人確認とデータ改ざん防止を実現し、電子署名法により紙の押印と同等の法的効力を持つ
契約書、請求書、見積書など多様なビジネス文書に電子署名を付与でき、業務効率化とペーパーレス化を推進できる
スマホだけで完結したい場合、iPhone+マイナンバーカード+電子署名くんでPDFに電子署名できます。
ビジネス文書の電子署名とは
ビジネス文書の電子署名とは、契約書、請求書、見積書、発注書などの PDF 文書に、デジタル的な「署名・押印」を付与する技術です。紙の書類に手書きで署名したり印鑑を押したりする代わりに、電子証明書を使って文書に署名します。
デジタル庁が推進するデジタル化施策の一環として、民間企業でも電子署名の活用が急速に広がっています。
なぜ電子署名が必要なのか
ビジネス文書に電子署名を付与することで、以下のメリットが得られます(出典:電子署名法)。
1. 法的効力の確保
電子署名法第3条により、適切な電子証明書で署名された電子文書は、真正に成立したものと推定されます。つまり、紙の書類への押印と同等の法的効力を持ちます。
2. 本人確認(なりすまし防止)
電子証明書を持つ本人のみが電子署名できるため、「この文書は確かに本人が作成・承認したものである」ことを証明できます。第三者によるなりすまし署名を防止します。
3. 改ざん検知(データの完全性保証)
電子署名が付与された PDF は、後から内容が改ざんされていないことを数学的に証明できます。署名後に1文字でも変更されれば、検証時にエラーとなります。
4. 業務効率化とコスト削減
紙の郵送、印刷、保管が不要になり、契約プロセスが大幅にスピードアップします。郵送費、印刷費、保管スペースなどのコストも削減できます。
電子署名が活用できるビジネス文書
以下のようなビジネス文書に電子署名を付与できます。
- 契約書
業務委託契約書、売買契約書、秘密保持契約書(NDA)など、法的拘束力のある契約文書。双方が電子署名することで、紙の契約書と同等の効力を持ちます。 - 請求書・領収書
取引先への請求書や領収書に電子署名を付与することで、発行者の真正性を証明できます。電子帳簿保存法に対応した電子保存も可能になります。 - 見積書・発注書
見積書や発注書に電子署名を付与することで、内容の改ざんを防止し、取引の透明性を確保できます。 - 稟議書・承認文書
社内の稟議書や承認文書に電子署名を付与することで、承認者の本人確認と承認日時の記録を残せます。
スマホ(iPhone)でビジネス文書に電子署名する方法
iPhone とマイナンバーカードを使って、ビジネス文書の PDF に電子署名を付与する手順を説明します。
電子署名くんを使った手順
- App Store から「電子署名くん」をダウンロード
- 署名したい PDF(契約書、請求書など)を用意
- アプリで PDF を開く
- 「電子署名」メニューを選択
- 署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力
- iPhone の背面上部にマイナンバーカードをかざす
- 電子署名付き PDF が生成される
- この PDF をメールや電子契約システムで送信
数十秒で電子署名が完了し、すぐに取引先に送信できます。
電子署名と電子契約サービスの違い
電子署名と電子契約サービス(クラウドサイン、ドキュサインなど)は異なる概念です。
- 電子署名:PDF に署名を付与する技術そのもの。マイナンバーカードなどの電子証明書を使って自分で署名します。
- 電子契約サービス:契約プロセス全体(文書作成、署名、保管、管理)をクラウドで提供するサービス。サービス提供者の電子証明書を使う場合が多く、月額費用がかかります。
電子署名くんを使えば、電子契約サービスに依存せず、自分の電子証明書で無料で電子署名できます。
よくあるエラーと対処法
エラー1:「署名用電子証明書の暗証番号が違います」
対処法:署名用電子証明書の暗証番号(6〜16桁英数字)を入力してください。利用者証明用(4桁数字)とは異なります。3回連続で間違えるとロックされ、市区町村窓口での再設定が必要になります。
エラー2:「電子証明書の有効期限が切れています」
対処法:署名用電子証明書の有効期限は発行日から5回目の誕生日までです。市区町村の窓口で更新手続を行ってください。
エラー3:「カードが読み取れません」
対処法:iPhone の背面上部中央にマイナンバーカードを正しく当て、2〜3秒間動かさずに保持してください。金属製のケースがあると読み取りに失敗することがあります。